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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.113 今語るべき文具 その3

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんに「今、気になっています」という文具を紹介してもらいました。

第3回目はきだてさん注目のゼブラ「スタイラスツーウェイ」です。
(写真左からきだてさん、高畑編集長、他故さん)*2026年8月15日撮影
*鼎談は2026年7月25日にリモートで行われました。

紙とデジタルの2WAYペン

4.jpg「スタイラスツーウェイ」(ゼブラ)※関連記事

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――じゃあ最後はきだてさんですね。

【きだて】ゼブラの「スタイラスツーウェイ」です。「面白いね」とか、「これは便利かも」みたいな流れで今2つ来た上で、ちょっと出していいのかよく分かんないんだけど。

【他故】え、便利なんじゃないの?

【きだて】いや便利なのよ。というのも、日常的にタブレットで調べ物しながら、出てきた情報を手元で簡単にメモを取るってことをするから。PCでもスマホでもやるけど。とにかく画面に出てきた情報を手書きでメモる。

【高畑】うんうん。

【きだて】でさ、タブレットで検索してるときに、メモ取る用のペンで無意識に画面をタッチしようとしてるときがあってさ。スタイラスじゃない普通のペンだから、単に液晶のガラス面をカンカン引っ掻くだけで「あっ」て気付くんだけど。そういうことが今まで何度かあったのね。「スタイラスツーウェイ」は、まさにそのボールペンで書きながらペン先を切り替えたりとかすることなく、そのまんまiPadの画面が操作できるっていうものなので、この使い方に限ればすごい便利なのよ。

スタイラスツーウェイ4.jpg【他故】はいはい。

【きだて】要は、紙に書くときはインクが出て、画面にはインクがつかない。そういう仕組みなんだけど、ちょっと角度とか変えてやってると画面にもちょっとインクが付くんだけどね。

【高畑】全然付かないかっていったら、付く可能性はあるよね。あと、表面に柔らかいフィルムとか、ペーパーライクフィルムを貼ると書けちゃう。

【きだて】ペーパーライクは確実に書けちゃう。

【高畑】だって、紙っぽいっていうことは、書けるってことなんだよね。

【他故】そうかー。

【きだて】というもので便利なんだけど、多分ねゼブラとしては「タブレットの画面にもこのペンで書いて」みたいなところを想定してると思うのね。公式の動画とかを見てる限り、これで書かせたがってるような。

【高畑】だから、これ1本で紙と画面の両方を使う人向けなんじゃない?

【きだて】うーん、「それする?」っていう。

【高畑】案外ありそうだなとすごく思ってて、僕が知ってるところだと、介護関係の人って紙の帳票と、報告用のiPadの両方を持ってるのね。画面に記入するのと、メモ帳に書くのと、どっちも要るんだよ。まだ完全に電子化されてなくて、2面を持ってる現場ってありそう。

【きだて】電子カルテを使ってるお医者さんにも便利ですよ、みたいな感じのことはゼブラも言ってたんだけど。とはいっても電子カルテをiPadで管理してるっていうのがちょっと少なくて、さらにiPad の中でも相当に機種を選ぶんだよね。

【他故】新しくないといけないし、機種も選ぶよね。

【高畑】新しくないといけないのは、多分Apple Pencil 2に対応してるタイプじゃないかな。

【他故】そうね。

【高畑】あと、画面サイズが何かのタイプだけ駄目だって言ってたね。

【きだて】多分、13インチがダメなんだと思うんだよ。

【他故】Proのでかいやつ?

【きだて】そう。それはね、軒並み対応バツになってたと思うし。あとiPad Airは全滅だったね。

【他故】対応機種が少ないんだね。そうやって考えると。

【きだて】専用な上に、大分対応機種が少ない。

【高畑】そうだね。もちろん、これは対応してなかったら何も意味ないから。

【他故】私も、これを試したくても、うちのiPadは初代のProなので、全然使えないっていう。

【きだて】うちにあるiPadもどれも対応してなかったので、レビューするためにゲオのレンタルでiPad mini借りてるんだよね。

【高畑】あ、ゲオのレンタルで借りてるんだ。なるほど。

【他故】ああ、そういうのもあるんだね。

【きだて】1番安くてさ。まあそれでようやく使えてるんだけど、文字を書くにはあまりにもペン先がツルツル過ぎる。

【高畑】どっちに対して?

【きだて】iPadのガラス面に対して。滑り過ぎて、文字とか絵を描くのは非常に辛い。これだけツルツルじゃないと、多分インクが出ちゃうんだよね。

【高畑】そういうことなんじゃないの。

【きだて】だから、多分ボールの回転を若干渋くしてあると思うんだよ。摩擦の無い場所でわざと空転させるために。それがツルツルに感じちゃって。文字なんか大体ものすごく汚くなるし、うちの奥さんに絵を描かしたら、「こんな書きづらいの嫌だ」って投げ出しちゃったので。

【高畑】あーそういうことか。なるほどね。

【きだて】対して、紙の方に持ってくると、このボールの回らなさがすげえ重く感じるのよね。重くないこれ?

【高畑】ああ、重いよ。クラシカルな油性の感じなんだけど、僕の言い方だと「トロ性は高くてヌル性が低い」。ヌルっとしないけど重いんだよ。

【他故】ええっ!?

【きだて】要は、紙に書けてガラスに書けないっていうのを実現するのに、ゼブラが持ってるインクとリフィルの組み合わせを色々試したらしいのね。インクも400種類ぐらい試作して、リフィルとインクの組み合わせも70パターンとか言ってたのかな。結局、ある油性のリフィルとあるゲルのインクの組み合わせが、今のとここれがベストだという。

【高畑】いやだから、あんまり軽くないゲルインクを油性のチップに入れる、っていう振り方なんだよ。油性のチップは元々インクがあんまり出ないようにできてるんだけど、そこにゲルを入れる。油性のインクって潤滑性がすごく高いから、重たくても回るんだよね。でも、ここでは回ってほしくない。ゲルインクは回り始めると急に粘度が下がるけど、回るまでは粘度が高いので。だから、回ってない状態を作るために、インクはゲルでチップは油性っていう組み合わせ。

スタイラスツーウェイ1.jpg【きだて】だから、どっちに対してもやや書きづらいっていう感じ。

【高畑】そうそう、そんな感じ。

【きだて】どっちか一方が満足できてどっちか一方がおまけ、じゃないんだよ。どっちもほどほど書けて、ほどほど書きづらいっていう。結果として、書いてるうちに地味にストレスがたまる。特に紙に書いてると、ボールの動き自体が渋くて重い上に、当然メカがいっぱい入ってるので、めちゃめちゃ重心が上なんですよ。なので、10分ぐらい書き続けてるともう手が疲れるっていう。

【他故】えーっ!

【高畑】あのね、たぶん筆圧が高い人は平気なんだよ。ボールを回すにはちゃんとグリップさせなきゃいけないから、ちょっと押しつけ気味にすると回る。元々回りにくく作ってあるので、筆圧をかけた状態でキュッと引っ張ってあげるとちゃんと書けるんだよね。だから筆圧が強い人はあんまり気にならないと思う。ただ、ゲルとか水性に慣れてる人だと、重い感じ、ボールがもったりしてる感じはすごくすると思う。

【きだて】しかもね、筆圧かけようとしてもグリップがツルツルで俺はしんどいっていう。

【高畑】あー、きだてさん的にはそうか。これはApple Pencilのサイズに合わせてあるから、多分ここにグリップが付けづらいんだよね。

【きだて】「プニュグリップ」を巻き付けようかなと思ったんだけど、プニュを巻き付けちゃうと、このマグネットでくっつくのが台無しになっちゃう。

【高畑】それは、いつものやつだよね。Apple Pencilも一緒だし。

【きだて】そういうので絶妙にストレスが溜まる。ただ、この方向性がもうちょっと進化したら、一気に化けるような気もしてて。今はiPadですごい限定的なのでちょっと使い道がないんだけど、タブレット以上に、スマホと紙のメモを同時に使う人って結構いるじゃない。

【他故】うんうん。

【きだて】それこそ、取材する時にスマホで配信の画面を見ながらメモ取るとかもするし、結構スマホとメモの組み合わせってあると思うんだけども、紙のメモを書きながら、そのままスマホの操作ができるとかになってくれるとすごく便利さが増すのね。俺の中では。

【他故】ああ、なるほどね。

【きだて】これが例えば、iPhone対応とかになるとグンと化けそうな気はするし。

【高畑】iPhoneって、多分指しか対応してないから、太いのしかできないけど。Galaxy Noteだったらいけるかもしれないよね。

【きだて】ああ、そうだよね。あれだとスタイラスも最初から付いてるしね。

【高畑】そう、あのペンはワコム方式だから、これとは方式が違うんだよね。デジタルペンってApple Pencilとワコムで分かれていて、Apple系だけ独特なのね。日本はiPadがすごく多いから、これもApple Pencil方式なんだけど。「ラミーサファリ」の形でワコム方式、Galaxyとかに使えるタイプっていうのがあって、あれのペン先がこういうボールペンになっててくれれば、確かにそのまま書けそうな気もする。

【他故】うん。

【高畑】まあ対応機種の組み合わせは、ゼブラが頑張ってどうこうっていう問題でもないとは思うんだけど。でも昨今のデジタルペンの「何か違うんだよね」っていう感じの中でいくと、これはちょっと可能性を感じる。

【きだて】そうなのよ。さっき言ったように、実用性という点では全然可能性はあるのよ。現状に不満があるだけで、化けるルートっていくつかありそうだなっていう。

【他故】うん、そうね。

【きだて】例えば、これがもうちょっとゼブラが頑張ってボールペンの性能としてよくなったら、それだけでまた1つちょっと違う方向が見えてくるだろうし。第1 弾だからのむずかゆさというか、今後もうちょっと進化の道あるだろうっていうもどかしさで、今俺の中はいっぱいなのよ。

【高畑】まず思ったのは、きだてさんは解像度が高いんだよ。ボールペンに対してもタブレットに対しても解像度が高い。しかも奥さんは、タブレットに対してめちゃくちゃ解像度が高いんだよ。

【きだて】そうだね。

【高畑】今回の発表会は、きだてさんは多分文具系の人たちが集まってる時じゃない?

【きだて】俺の時は2人しかいなかった。

【高畑】そうなんだ。俺はそのタイミングで行けなかったから別の日に行ったんだけど、そしたらデジタル系、ガジェット系のメディアの人たちがいっぱいいたのさ。いつもとノリが全然違って、彼らは「うぉ、ボールペンで書ける!」って言うだけで、書き味に言及する人が1人もいないんだよ。「重たい」とか「軽い」とか言ってるのは僕ら文具系だけ。分かる人からすれば「ちょっと重いかな」とか「もったりするな」とか思うところはあるけど、おおむねボールペンとしてはかなりいいとこに行ってると俺は思う。

【きだて】うーん。そういうもんかな。

【高畑】きだてさんは多分、普通の人よりだいぶ高いところに合格点を置いてるような気はするけど。

【きだて】そうかなー?

【高畑】もちろん、分かる人は重いと思うだろうし、バランスにしても、バッテリーが入ってるから昨今の超絶バランスのいいペンには敵わない。滑るっていうのも、きだてさんは滑るペンが好きじゃないじゃないですか。あと、イラストを描く人にとって何がダメって、多分これは筆圧検知も角度検知もできないよね。

【きだて】まあそれはね。

【高畑】普通のタブレットペンとして見ると、Apple Pencilに比べてできないことがすごく多い。Apple Pencilを使い慣れてるとやっぱり足りないから、きだてさんが言うようにどっちもちょっと劣るっていうのは多分ある。だけど、そこを気にしてない人にとってはすげえ便利だと思う。「書ければいいじゃん」ぐらいで、最初からキレイな字を書こうと思ってない、報告が書ければいいって感じだったら、ガラスに書くのでも全然十分な気もする。

【きだて】なのかなあ。

【高畑】俺は逆に、案外ちゃんと書けるなって気がしたんだよ。ほら、静電式の、先に丸いポンポンみたいなのが付いてるやつあるじゃん。あれに比べたらよっぽどシャープに書けるから。

【きだて】まあまあ、それはそうなんだけど。ポインティングも静電式と比べたら確実だし。

【高畑】タブレットに書けるペンとして見ると、これでクリスタで絵を描くのは無理。それは俺もそう思うし、イラストレーターをやりますとかも無理だなと思う。ただ、記録用のペンとしたら、この立ち位置はちょっとアリかなっていう気はしたのね。

【他故】なるほど、なるほど。

【高畑】あともう1個、書き心地に関して言うと、「画面にインクが付いちゃ本当にダメですか?」っていう気がちょっとしてて。ゲルになってる理由のもう1つがそこで、ゲルインクは水性だから、ウェットティッシュで拭けばキレイになるんだよ。

【きだて】そうそう、簡単に取れるんだよね。

【高畑】これ、言われてから確かにそうだなと思ったんだけど、例えばゼブラのサラサとかで書いても、ほぼインクは出ないんだよ。

【他故】ガラスだからね。

【高畑】ガラスの上で他のペンなら出ますか?っていったら、書いても別に出てなくない?っていう。だから、たまにちょっと出るのを平気って思えるなら、普通のゲルインクのボールペンでもそんなに出ないんだよね。ということは、このリフィルを変えたらいいんじゃね?ってちょっと思うのね。

【きだて】あー。

【高畑】このリフィルの書き心地が嫌なんだったら、紙側をまともにしようと思ったときに、普通のリフィルを入れたら普通に書けるじゃん。

【きだて】これ一応専用リフィルになってたけど、見た目は4Cっぽくね?

【高畑】そう。これ、確認したらちょっとだけ意地悪なんですよ。要は、4C芯よりこれの方がちょっと長い。だから4Cを入れると短くて使えない。奥にスペーサーを入れれば長さは合わせられると思うんだけど、1回やったらもう2度と元に戻せないじゃん。

【きだて】たぶん、そうなるよね。

【高畑】入れたやつが抜けないじゃん。

【他故】そうね。

【高畑】まあ、そういうのはあると思うんだけど、ただそれだけの話じゃない。「画面がたまにちょっと汚れるのは俺、気にしません」って言えるなら、書き心地は自分の好きなペンでいけそうな気がしない?

【きだて】まあ、メーカーが作るものとして、それは多分出せないんだよね。

【高畑】いやだから、メーカーがインクを出ないようにしよう、出ないようにしようってやった結果がその重さじゃない。「たまに出てもいいっす」って、さっきのインドのメーカーみたいに「インクも漏れたりするけどね」「カッコいいからいいじゃん」で行くんだとしたら話は別で。もちろん誠実なんだよ。手が汚れたら嫌だっていう人はいっぱいいると思うから。でも、割り切ったらできそうな気もしたっていうのはあって。

【きだて】うん。

【高畑】入れ替えできるんだろうかと思って長さを測ったら、ちょっと長い。すごく嫌な感じだったんですよね。もちろん、メーカーがさせないためにわざとずらしてるんだろうけど。

【きだて】それはそうだろう。

【高畑】ペンの方がちょっと短ければ、4Cを切れば入るじゃんって思ったんだけど、逆なんだよね。

――あんまり大っぴらにできる話ではないような(苦笑)。

【高畑】まあ、ゼブラとしては安全側に振ってるから、きだてさんの言う重いって感じになると思う。でも案外それはちょっとしたことで、むしろ「これ、どっちもいけるじゃん」って思いついたのがすごい。多分、開発の人が誰か間違えて書いちゃった時に、「あ、いけるじゃん」って気づいたんだろうね。

【他故】うんうん。

【高畑】元々は、タブレット用のペン先を作ろうとしたっぽいですよ。書き心地がすごくいいペン先を作ろうと色々試行錯誤してる時に、誤ってガラスの上に普通のインクの入ったペンで書いたら「いけるじゃん、インク出ねえし」って気がついて、「じゃあこれ、逆じゃない?」と。タブレットの書き心地を上げるんじゃなくて、紙にも書けるようにしてボディを作ればいいんじゃね?っていう話になって。それでエレコムに持ってって「作ってくれませんか?」って言ったら、面白がって作ってくれたっていう話。

【他故】なるほど。

【高畑】むしろネックは値段かな。オープン価格だけど、1万2,000円とか1万3,000円とかするので。

【他故】今Amazonで見ると、1万6,500円になってるね。

【高畑】まあまあするね。

【きだて】多分、税抜で1万5,000円が基本の値段だと思うよ。

【高畑】いやだから、買いにくいとしたらそっちかな。

【きだて】1万5,000円で。それこそ「電子カルテ以外でじゃあどう使おう?」みたいな話になってくると結構しんどいかな、というのが1つもったいないとこ。

【高畑】そうだね。業務用で会社が買ってくれるなら使うけど、自分で買うかって言ったときには、結構敷居が高いよね。

【きだて】俺が便利だなと思ったのは、タブレットの画面でブラウザのタブ切り替えたり、ウインドをちょっとズラしたり、みたいな操作ができることなんだけど、ただそれのために1万5,000円払えるかっていうのは、非常に大きい問題だよね。

【他故】まあそうね。

【高畑】今、Apple Pencilがいくらするんだっけ?

【他故】いくらだったかな? 「Apple Pencil USB」が1万4,800円だね。やっぱり合わせてきてるんじゃないの?

【高畑】Apple Pencilだったら、さっき言った筆圧とか角度の検知をするんだよね。そうすると絵を描きたい人はそっちを買っちゃうもんね。

【他故】そうだよね。

【きだて】まあ、Apple Pencilは紙に書けないけどねって言われたらそれで終わりなんだけど。

【他故】それはそうだね。

【高畑】だから、どっちを取るかになるじゃない。2本使うのかどうするのか、というところで、きだてさんの奥さんだったらそりゃApple Pencilじゃないとダメに決まってるってなる。これがもっと安かったら、Apple Pencilと迷うんじゃなくて、書けるペンとして買うか買わないかで悩むことになるんだけどね。

【きだて】人気が出るとしたら、その部分だよね。もうちょっと安くなってからの話。

【高畑】これが5,000円とか6,000円だったら、「Apple Pencilは高いけど、これなら紙にも書けるし、まあ持っといてもいいかな」っていう選択肢にはなる気もするから。

【きだて】本当に、広告ウインドの閉じるボタンを狙ってタップするとか、そういうしょうもない用途で使えるペンなら、5,000円とか6,000円でギリOKっていう。1万5,000円はね、もうちょっと役に立てようとしちゃうよ。

【高畑】まあ、そうだと思う。ただ「しょうもない」って言うけど、案外そういうことの方が気軽で楽じゃない。ペン先でこうやって動かしたい時って全然あるし、ペンで動かすと楽じゃん。

【きだて】そうそう。

【高畑】だから普通にいいなと思う。Kindleで読んでて蛍光ペンの線を引くのとか、俺はApple Pencilでやるんだけど、全然アリだなと思うし。

【他故】うん。

【高畑】1つだけ注意があって、Apple Pencilを持ってる人は、一旦解除しないとこれを認識しないですよ。Bluetoothでペアリングされてると元々のやつが優先になっちゃうので、1回ペアリングを外さないとダメですね。

【きだて】ああ、そうそう。

【高畑】全然反応しないからおかしいなと思ったら、Apple Pencilのペアリングを外してあげると使えるようになる。こっちは逆にペアリングがいらないタイプなので、iPadが何台あっても1本で使える。だから、iPadを何台も持ってる人はこれで普通に書ける。俺はガラスに書くときの書き心地がそんなに嫌いじゃなかったので、きだてさんが言うほどには気にならなかったんだよね。

【きだて】そうかー。俺だとツルツル過ぎてイライラしちゃうから。

【高畑】だから、そこら辺の違いかな。書き心地でいうと、引っかかりが欲しい人にはちょっと滑るよね。

【きだて】みんなそれを求めてペーパーライクを貼ったりとか、スタイラスの先端を折ったパスタに変えたりとかするわけじゃない。

【高畑】まあ、どっちもいるんだよね。俺は変えなくていいか派で。ペーパーライクを貼ると、画面がシャープじゃなくなるじゃん。ちょっと曇るというか、薄い擦りガラスを貼ってるような状態になるから、絵がキレイに見えなくなる。だから僕はあんまり好きじゃなくて、普通の透明フィルムとか透明ガラスとか。というか、これは貼ってすらいないんじゃないかな。この間割れて外したから。ただ、メーカーとしては硬いガラスを貼ってくださいとは言ってる。

【きだて】そうだね。ガラスフィルム推奨で、完全に書けちゃったらどうしようみたいな感じだと思うんだけどね。

【高畑】これを寝かせ過ぎると、ボールのチップのエッジが当たるじゃない。そこが嫌だから、メーカー的には、ガラスフィルムを貼って、かつちょっと縦気味に書いてくださいっていうことなんだよね。

【きだて】「60°以上に立てろ」って、結構うるさめに言ってるね。

【他故】なるほど、そうだよね。

【高畑】電子機器とか入ってきた時の責任の取り方をどうするかっていうのはあるから、面倒っちゃ面倒。

【きだて】ほら、10何年ぐらい前のデジアナ文具ブームってさ、アナログがデジタルにいかにすり寄るかっていう方向性だったじゃない。アナログで書いたノートをデジタル貸したら管理しやすくなるよ、とかさ、そんな感じで仕掛けも何もかもが結構大仰だったんだけど。

【高畑】紙に書いたやつがデジタイズされる、みたいなね。ボードの部分に仕掛けがあって、その上に紙を置いて書くとか。あとは紙が特殊なドットになってて、書いたやつがデータ化されるとか。じゃあペンの書き心地はどうかというと、かなり不自然なペンを使ってデジタイズするか、あるいは普通のペンで書いたやつを後で写真に撮るか、みたいな感じだったんだよ。それに比べると、今回のこれは折衷案としてまあまあいいとこまで来てると思う。

【きだて】折衷案というよりは、デジアナ文具の肩の力が抜けたっていう。

【他故】ああ。

【きだて】デジタルへのアナログ方面からのアプローチって、「まあまあこれぐらいでいいよね」っていう。

【高畑】あ、そうそう。そんな感じなんじゃない。

【きだて】その肩の力の抜け具合という点で、俺はすごい評価してるの。

【高畑】そんな感じだと思う。

【他故】なるほどね。

【高畑】これで良かったんじゃないのっていう感じはする。

【きだて】無理してデジタルとアナログを融合する必要はなくて、行ったり来たりをシームレスにできるだけで便利だったんだねっていう。

【高畑】昔、感圧式の液晶だった時に、ノック式の4色タイプでボールペンとプラスチックのチップが入れ替わるやつあったじゃないですか。

【他故】あったね。

【高畑】感圧式は完全になくなっちゃったけど、あの頃は割と使えてたのね。「Palm(パーム)」とか、ソニーの「CLIE(クリエ)」とかは、ああいうペンで全然アリだった。それがなくなっちゃったわけだけど、あの感じのノリでよかったなと思うと、これは割といい線来たなって感じはすごくする。

【他故】なるほど、なるほど。

【高畑】今回、これは「返して」って言われてるんだけど、返した後に自分でお金を出して買うかっていうと、ちょっと迷うね。

【他故】うん、迷うね。

【きだて】俺はこのレンタルの iPadを返しちゃったら、使う当てもなくなるんだから(苦笑)。

【高畑】ああ、確かにね。俺はたまたま自分が持ってるやつが対応してるからいけるけど。でも発表会は、デジタル系やガジェット系のライターの人とか、YouTuberの人たちのノリがすごく違ってて面白かった。

【他故】今話してる間に、2、3個それ系のサイトの記事を読んだんだけど、「ボールペンは普通のゲルインキボールペンでよく書ける」ってみんな言ってるから、「あ、こんなもんか」みたいな(笑)。

【高畑】だってその中で、触った瞬間に「うん、このボールは…」って言ったのは俺だけだからね。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】「これ何のインクですか?」って聞いて、「鋭いですね」とか言われるのも俺だけ。みんな「うわ、めっちゃ快適に書ける」みたいな感じで、ボールペンなのにガラスの上で書けないっていうことにみんな驚くんだね。

【他故】それは書けないだろうって思うんだけどね。

【高畑】言われてみれば普通のペンでも大体は書けないんだけど、普段からそう思ってないから、最初は「あ、これ普通のボールペンのペン先で画面に書いていいんだ」っていうところで、みんなかなり戸惑うみたい。

【きだて】うん、それはまあ、「やっていいのか?」っていう気分はあるんだろうけどね。

【高畑】そこを「やっていいんですよ」って言っちゃったのも、ある意味ではブレイクスルーじゃん。割り切りをしないとこれは成り立たないから。本当はちょっとだけインクが付く時もあるけど、「それはもう拭いてね」ってゼブラも言ってるわけじゃないですか。それを言うのも大事だと思うんですよ。「99%便利でも、1つ何かがあったら出すべきではない」みたいに言うのって、発展を妨げる部分があるじゃん。

【他故】ああ、そうね。

【高畑】でも、「もっとよくできるよね」っていうのはきだてさんの言う通りで。次のバージョンが出るためにも、これにはこけずに頑張ってほしい。

【きだて】そう、大事なのはそこなんですよ。

【高畑】廃番になってしまうと、どっちにしても推せないので。だからこそ、どこかの企業とかで、業務用の道具として決まってくれればいいんだけどね。

【他故】ああ、そういうことか。

【高畑】ある種の道具としては便利だと思うよ。

【きだて】何せ、エレコムとゼブラが両方利益を分け分けして儲かるぐらいには売れなきゃいけないので。

【高畑】売れてほしいね。上手くいったら、他のタブレットにも対応できるようにしますとか、全然考えてくれそうだし。替え芯もちょっと高いんだよね。

【他故】これ、高いんだっけ?

【高畑】替え芯、2本入りで1,500円ぐらいじゃなかったっけ?

【他故】結構かかるんだね。

【高畑】高いんだよね。そこはもうちょっと何とかしてほしい感じがある。

【きだて】4Cのアダプターとか作らないかな。

【高畑】それも考えたんだけど、ちょっと難しい。抜けなくなったら嫌だし、元に戻せなくなるのはね。ちょっと惜しいよな。あと、この手のペンは電源をどうするか問題がちょっとあるので、ノックが電源になってるのは結構いいなと思う。ただ、カタログを見てて面白かったのは、「ノックするだけで書ける」って書いてあって、それ大体のボールペンがそうだろうっていう。

スタイラスツーウェイ2.jpg【きだて】そうだろうっていう(笑)。

【他故】ノックするだけで書けるって書いてあって。発明みたいな言い方をする(笑)。

【高畑】普通じゃん、みたいな。30分の充電で7時間使えるとかだから、まあ周りは割と普通。

【きだて】この辺は、エレコムがちゃんとしたのを作ってるんだなっていう感じなんだけどね。

【高畑】そんな感じだね。本体の完成度も安っぽくはないよ。しっかりしてるし、割とキレイに作ってはあるので、そこはいいかなと思う。普通にType-Cで充電できるのもいい感じです。

【きだて】俺としては、もうちょっと文具寄りで、もうちょっと良くなってくれないかな。グリップとかインクとか。

【高畑】そうだね。

【きだて】これが例えば「サラサ」とか「ブレン」のボディに入ったりしただけでも、ちょっと面白くなると思うんだよね。

【高畑】今回は逆に、マグネットでパチッと付くのをやりたかったんだろうね。

【他故】まずそこだったんだろうね。

スタイラスツーウェイ3.jpg【高畑】Apple Pencilと一緒で、iPadにベタっとくっつけてほしかったんだろうね。でも、きだてさんの言うようなバリエーションも、あったらあったでそっちが欲しい人はいるよね。

【他故】だったら、「ピタン」のボディを使って、アダプターを付けちゃったっていいじゃんね。※関連記事

【高畑】アダプターっていうか、裏に貼っとけっていう。

【他故】裏に貼っとけ、かー。

【高畑】そういうのもなくはないかな。1個作ったから、「もっとこうすりゃいいんじゃないの」って話が色々出てくるわけで。だから、次にも出てほしい感じはする。

【きだて】「こうすればいいじゃん」って案が出てくるのも、詰まるところ、最初のこれが出たからの話であって。

【他故】そうね。

【高畑】いや、やっぱ俺は値段かな。もうちょっとなんとか、1万円は切りたかったねっていう感じ。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/