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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.112 2026年上半期ベストバイ文具 その1
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんに2026年上半期のベストバイ文具を紹介してもらいました。
第1回目は高畑編集長の「キャップレス」万年筆です。
(写真左からきだてさん、他故さん、高畑編集長)*2025年11月7日撮影
*鼎談は2026年7月3日にリモートで行われました。
「キャップレス」初のペン先に注目!
「キャップレス」新色(18金ペン先)パイロットコーポレーション ※関連記事
――今日は恒例の上半期ベストバイを紹介してもらいます。まずは高畑編集長からお願いします。
【高畑】パイロットの「キャップレス」の新色なんですが、ちょっとお断りがあって、ベストバイと言いつつ頂きました、すいません。
【他故】まあ、いいんじゃないですか(笑)。
【高畑】僕はパイロットのオウンドメディア「かく、がスキ」でコラムの連載を持ってるんですよ。毎回パイロット製品の中から僕が好きなものを「好きだ」って語るだけのコーナーなんですけど。今年に入ってから2回連続で「キャップレス」の話を書いてたんですよ。まず80年代ぐらいに売られていた多面体モデルについて1回書いて(こちらを参照)。まだ他にもいっぱい持ってるので、「これもあれも持ってます」って1個ずつ紹介する記事を2本目に書いたんですよ(こちらを参照)。そうやって「キャップレスが好き好き」ってかなり言ってたところに新しいモデルが出たんですけど、今は特に金ペン先のやつは価格も上がってるし、さらに色違いを今買うかって言ったら、まあいいかなって思ってたんですよ。
【他故】うん。
【高畑】そう思ってたんですけども、発売前の情報を見たら、ペン先にFMとSUっていうのが足されてるんですね。これまでEFとFとMしかなかったんですけど、FMという中細とSUという「スタブ」が書かれていて、これは聞き捨てならん!と。このスタブは、少なくとも「キャップレス」に関して言うと、ここで初めて見たんですね。そのリリース情報をいつものYouTubeで紹介して、スタブをとにかく試してみたいってすごい言って、パイロットさんに「絶対に触りたいので何とかしてくれ」って話をしたら、「お前がキャップレス好きなのは分かったから1本やる」(意訳)って言ってくれたんですよ。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】「キャップレス」は、ノック式の実用万年筆としてはかなりレアなアイテムなんですよね。今だとプラチナからも出てるし、あと海外のメーカーでにもちょこちょこあるんですけど、ただ、実用的なノック式万年筆で実用的でといったら、やっぱり「キャップレス」はがずっと長くやっているアイテムで、僕はめちゃ好きなんですけどね。
【きだて】面白そうなんだけどさ、「キャップレス」ってそもそも普段使いの筆記具として使える万年筆っていうイメージが強いじゃない。そこにスタブペン先というのが、どうにもミスマッチというか、イメージが合わないような気はするよね。
【高畑】なるほどね。そもそもそれ以前に、「キャップレス」ってボディ細いから、ペン先もめっちゃちっちゃいのさ。
【きだて】そうだよね。
【高畑】だから、僕の中では「キャップレス」っていうのは細字でちっちゃく書くっていうか、手帳に書いたりするのが「キャップレス」っぽい使い方だと思ってはいるし。
【他故】まあ、そうだろうね。
【高畑】だから、細字のものもいっぱい持ってるんだけど。ただ、スタブって結構面白くて。スタブって横幅が広いペン先なので、縦は太くて横がは細いっていう線が引けるのさ。
【きだて】そうだね。
【高畑】なので、案外狭い罫線の間にもにも書ける。文字の形としては、横幅が太くて、高さを抑えてたはっきりした文字が書けるのよ。それが割と好きで、今までもミュージックのペン先とかを手帳の見出し用に使ってるんだよね。横幅が太くて縦が細い線は手帳に向いてると、僕はずっと前から主張していて。蛍光ペンのペン先で普通のインクのペンを使うのもよくやるんだけど、幅は太いけど高さを抑えた文字が書けるみたいな。幅広のペン先って、上手く書けば高さを抑えて手帳にも書けるよねって思っているので、それができるのがすごいうれしい。実用性も結構あるぞと僕は思ってるんですよ。で、「キャップレス」は元々ペン先がちっちゃいから、そんな太いペン先が出ると思ってなかったんだけど、チップがびっくりするぐらいおかしいんですよ。横幅がめちゃくちゃあるペン先が採用されていて、こんだけしかないペン先なのに、こんなに幅のあるペンポイントが付いてるんですよ。
【他故】あ、本当だ。
【高畑】もうほとんどヘラみたいなペン先なのね。
【きだて】実物見たら、すげぇバカっぽいな(笑)。
【高畑】ちょっと見ると、笑っちゃうぐらいバカみたいというか、普通のペン先ってこうじゃん。先端に向かってヒュッと細くなっていて、1番先に丸いのが付いてる。でもこれは明らかに根元の部分からかなり広く出ていて、その広いところに四角いペンポイントが付いてるので、明らかに別物。「ちょっと玉を大きくしました」とかっていう話じゃなくて、完全に平たいのを作りましたっていうかたちなの。
【他故】うんうん。
【高畑】「キャップレス」で太い文字が書けるとは思ってなかったので、僕としてはちょっと衝撃的で。「キャップレス」はいっぱい持ってても、基本的にペン先って変わんないんだよね。最近のモデルはほとんど互換性があって、現行品とかちょっと前の製品ぐらいなら中身を入れ替えれば使える。ただ、どれでも使えるのはEFからMまでしかなくて、大して太い文字は書けなかった。今回初めて全然違うニブが出たので、動画の中で大興奮して。長いこと「キャップレス」を触ってきたけど、初めてこんなに太い線が引けるものが手に入ったって感じなんですよ。
【きだて】確かにね。「キャップレス」らしからぬ線で面白いわ。
【高畑】そうなんですよね。万年筆は金の価格高騰とかいろんな理由で、値段がどんどん上がってるじゃないですか。同じモデルのまま値段を上げるのは何だから色を変えました、みたいなちょっとしたバージョン違いを出すこともあるんだけど、そういうのは見送ろうかなと思ってたら、「えっ、こういうことやりますか?」っていう。これは別物として欲しくなっちゃうよねというのがすごくあって。僕的には衝撃でした。
【他故】なるほどね。
【きだて】その文具王の喜びとか、「キャップレス」マニアのコレクション性とかいうのを踏まえた上で言うけど、やっぱりスタブは常用じゃないと思うよ。
【高畑】あ、そうなの? いやね、万年筆で書く面白さの1つではあると思うな。
【きだて】うん、万年筆としてはそうなんだけど、「キャップレス」としてはどうなん?っていう。俺の中でイロモノセンサーがすごい反応してる。
【高畑】ああ、なるほどね。普通の人が最初に買う万年筆として、スタブを買うかって言ったら、まあFとかEFを買うよねっていうのは、確かにそうかもしれないね。だからこそ、このシリーズの中にしれっと入れてきて、「やっぱり新しいのも買いたいよね」っていう感じのところなんじゃないですかね。1本目でこれを買えとは言ってないんじゃないかな。
【他故】まあね。
【高畑】そんな気はするよね。ラインアップも、このスタブのニブが選べるのは金ペンだけなので。今回はスチールのやつもあるんだよ(写真)。パイロットは特殊合金って言ってるけど、そっちのニブはFとMしか選べなくて、こういう特殊ニブは選べないんですよね。
【高畑】あと「キャップレス」は、細身の「デシモ」も普通のも中身は同じ形なのね。僕の好きなちょっと前のバージョン、80年代ぐらいに出てる多面体モデルとかも基本は中身の形が一緒なので、これを手に入れたということは、他のキャップレスでもスタブを使えるっていう。
【他故】ああ、中身を入れ替えられるからね。
【高畑】そう、中身を移動できるので。例えば「キャップレスLS」とかのちょっと高いやつにも入れ替えができる。確かに、きだてさんが言うみたいに、マニア好きするものではある気がするね。
【他故】まあね。
【きだて】そういえば、LSって最初出た時は4万いくらだっけ?
【他故】3万85,000円かな。税抜で。
【高畑】今は、それよりもこの「キャップレス」の方が高い。
【きだて】そう考えるとえらい世界線に来ちゃったなという気はするな。
【高畑】ねえ。だから、金ペンを楽しむっていうのがなかなか難しい時代になっちゃったなというのは確かにあって。
【きだて】万年筆よく分かってない勢として、すごいみみっちい話をするんだけどさ。他の万年筆の金ペンが値段上がるのはひとまず飲み込むとして、でも「キャップレス」のニブってそんなに金を使ってねえだろ。その小せえニブでどんだけ値段あげんだよっていう。
【高畑】なるほど。
【きだて】ということを前からちょっと思ってたんですけども。
――「キャップレス」はペン先が小さいから。
【高畑】金の価格高騰を理由に値段を上げるにしたら、その量が少ねえだろうっていうことだね。
【きだて】そういうこと。
【他故】そういうことか。
【高畑】それは結構鋭い指摘なのかもしれないよ。
【他故】ただ、今の「キャップレス」のペン先は18金だから、14金に比べれば高くなるんですよ。
【きだて】あれ、18金なの?
【高畑】「キャップレス」って14金が標準じゃなかったっけ?
【他故】この重くて太くなったモデル(1998年発売のFC-15SR)以降は、基本18金のはず。
【高畑】あ、そうなんだ。金ペンって14金のイメージが結構強いけど、確かに18金じゃちょっと含有量が多いか。
【他故】ちょっと多い。
【高畑】重さを測ってみないと何とも言えないけど、でもまあちょっとちっちゃいのは確かにあるよね。
【きだて】俺の生来のケチ臭さが、何かそこのところに引っかかりをずっと感じてたんだよ。「お前は金の価格由来で値段を上げるな」っていう(笑)。
【高畑】ただ、それなりに長さはあるんだよね。奥行きはね。大分細いけど長いよねっていうちょっとあるけど。
【きだて】そうか。
【高畑】まあでも確かにね、そう言われりゃちょっとちっちゃいじゃんっていう。普通の万年筆に比べると、少ないって言われたら、そうかもしれないよね。逆に、4万1,800円で済んでるということなのかもしれないけどね。
――「キャップレス」は、ペン先がちっちゃい代わりに金のグレードを上げてるんじゃないですか?
【きだて】でも、昔は14金だったじゃない。
【他故】14金はね、1998年より前のモデルだよ。
【きだて】ああ、じゃ大分前だね。
【他故】太くて重くなったのが1998年で、そこからは基本18金ペンが付いてるんですよ。
【高畑】だから、多面体モデルとかの時は14金なんだよ。
【他故】そうそう、昔はね。
【高畑】それにしても、これまでにない面白さがあるものに関しては、「これは使わねば」って思うところはある。ボディの色違いとかだと「ちょっと買い控えようかな」というところもあるけど、今回は大分違う。本当に「キャップレス」らしからぬ線が引けてしまうのがやっぱり大きくて、自分的には見逃せなかった。くれなかったら買ってるんだろうなというぐらい、これは欲しい感じ。
【他故】やっぱりインクの減りは早いですか?
【高畑】減りは普通に早い。
【他故】やっぱ吐出量が全然違うか。
【高畑】でも、中に入ってるのがいつものコンバーターなので。「CON40」だっけ?
【他故】そう40。
【高畑】それが入るので、減るのは早いけど、コンバーターで足せるし、インクをいっぱい入れたかったら、カートリッジインクを入れればいい。インクを持たずに出張に出てどうこうという話は、まだ僕もそんな風には使ってないので。普段、1日2日でなくなるほどは書かないし。ガツガツ書いてたらちょっと違うかもしれないけどね。
【きだて】スタブって、それ1本だけ持ってどこかへ移動するとかそういうものではないんじゃないのかな。
【高畑】そういう意味では、他の「キャップレス」とペアで持つとかでもいいし。あとは、普段はボールペンを使ってるんだけど、めっちゃ文字を書くときはそっちをメインにして、ここはかっこよく書きたいなというところでこれを使うとか。それこそ、ちょっと様になる文字を書こうというときに、EFとかだと細過ぎるので。
【きだて】うん、分かる。
【高畑】「キャップレス」って案外選択肢がなかったので。持ち運びができるっていう良さはあるけど、道具としての選択肢は「結局ニブは一緒だし」みたいなところがあったので、そこの幅が広がったのは嬉しいかな。
【きだて】「キャップレス」のペン先は、ここからまだ展開するのかね?
【高畑】いやでも、これがかなり思い切ったペン先なので。ちょっと思うんだけど、ペン先って調整師さん、ニブシェイパーみたいな人たちがいるじゃん。ああいう人たちにいじってもらう時でも、ペン先は削ってちっちゃくはできても、大きくはできないのよ。
【きだて】そらそうだ。
【高畑】今まではMが1番太かったので、Mより太い文字を書くペン先に改造するのは、よほどじゃないとできなかったのね。だけど今回は尋常じゃないぐらい幅があるので、多分「こんな風にしたい」って言った時は削り放題なのさ。違う形にして使いたい人にとってみたら遊びがいのある素材なので、例えば調整師の人に持っていって、「もうちょっとこんなペン先にしたい」と言った時には、削ったりできるのかな。
【きだて】あー、改造素体として。
【高畑】長刀みたいな形にできるかっていうと、平たいから難しいかもだけど、それにしたって元のボリュームがあるっていうのは、選択の幅がめちゃくちゃ広いので。
【他故】そうか。
【きだて】最初の絞りからして広いんだもんね。
【高畑】そう、研ぎ師に頼めば、絞りの太いところも削って細くできるから、ここからEFにするのはできるけど、逆はできないので。だから、そこら辺でマニアックに遊ぶことも多分できるんだろうなとは思うけど。
【きだて】そういう人が出てくるのかしら?興味深いね。
【高畑】変わった遊びをするための材料としても、これはこれであるのかなと思うけど。
【きだて】4万円もする「キャップレス」を遊び道具にするのもどうかと思うんだけれども(笑)。
【高畑】でも、この間のゼブラの「HAMON」だって、そのぐらいするわけじゃん。
【他故】まあね。
【高畑】「HAMON」は「HAMON」でさ、書き心地をちょっと変えようっていう新しいチャレンジがあったわけだから。「キャップレス」もそういうことをやってて、すでに1本持ってる人が「どういう違いがあったらもう1本欲しいんだろう」って考えた時に、このぐらい違いがあるっていうのは、頑張って買うモチベーションとしてはかなりあるかな。
【他故】それはそうかもね。
――でも「HAMON」より安いですよね。あっちは6万円だから。
【高畑】そうそう。ちょっと感覚がおかしいっていう問題はある(苦笑)。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】逆に言うと、もうちょっと安いモデルで遊べる万年筆をもっと出してほしいなって思うね。
【きだて】それは、まあそうだね。「やってみたい」って遊びの入門料がウン万円は、お大尽すぎるわ。
【高畑】例えば、「カクノ」のニブとかでカリグラフィーぐらい太いやつとかさ。何か出ないかなとか思ったりはしちゃうね。「カクノ」のスタブとかさ、そういうのも欲しい気はするけどね。
【きだて】ところでさ、今更恥ずかしくて聞けないことなんだけどさ、スタブとミュージックて何が違うの?
【高畑】ミュージックの方が横幅がさらに広くて、四角いペン先。パイロットの場合、ミュージックは先端に2個切り込みが2本個あるのさ。万年筆って大体、真ん中に1個じゃん。それが2個あるんだよ。広過ぎてインクが回らないから、筋が2本切ってあるという感じで。ミュージックは音符を書く用だから、思いっきり幅の広いカリグラフィーみたいなペン先なんだけど、そこまではいかないのがスタブで。あと、ミュージックは割と角がカクカクしてて、書くと文字の角が立つんだけど、スタブはもうちょっとだけ丸い。とか言いつつ、これはかなり角の立ってるスタブの部類には入ると思う。最初はこんなにエッジの立ったスタブだとは期待してなかったので、商品を見てびっくりしたっていうのが正直なところ。他のメーカーとか、パイロットの他の製品でもスタブという名前で出てるニブはあるんだけど、こんなにはっきり角が出てるのは珍しいんじゃないかなと思う。
【きだて】一つ勉強になったよ。本当に俺は万年筆が弱いな(苦笑)。
【高畑】まあそんなもんだよ。自分の専門外だとそれはそうだと思う。要は、この平たさが際立って平いるので、万年筆の普通のペン先としてもはっきり分かる幅広ペンで、幅広好きだとこれは結構面白いんじゃないかなと。
――他故さんは持ってないんですか?
【他故】スタブのペンは手元にはないですね。太字があんまり好きじゃなかった時代が長くて。シグネチャーっていうペン先が出た時に、「ああ、これ1本あれば他はいらんな」っていう風に判断してしまったので、太いものってあんまりバリエーション持ってないんですよね。
【高畑】シグネチャーもちょっと横幅が広いというやつだよね。
【他故】シグネチャーは縦が極太で横が中字ぐらいかな。だからかなり太いんだけど、めちゃくちゃ滑らかに書けるっていう、その滑らかさに惚れてシグネチャーを使ってるんだけど。
――前にここで紹介してもらいましたよね(こちらを参照)。
【高畑】してた。
【他故】でも今、文具王が書いた字を見て、スタブもちゃんともう一回試さなきゃいかんなって気にはなってます。どこかで試し書きしたいな。
【高畑】それはね、試してみるのはいいなと思う。
――お店に行けばできますよね。あ、でも普通の「カスタム」とかのスタブとちょっと違うのか。
【高畑】「カスタム」のスタブとも形が違うんじゃないのかなと思います。
【他故】そんな気がしてるんですよ。
【高畑】僕は、「カスタム」ではミュージックを持ってるんですね。その「カスタム」のミュージックともまた全然違っていて面白いな、というのが自分の感想で。ミュージックも横幅の太い線が書けるんだけど、縦の幅はすごく狭くて縦横の差が大きいので、いわゆる明朝体みたいな文字が書きやすいんだよね。極端なやつならこのミュージックでもいいんだけど、普段使いするんだったら、この中間にあるスタブの方が文字に個性を出しやすくて面白いよ、ということかな。
【他故】パイロットのホームページに、16種類のペン先について載っているので、ちらっと見ていただくと、なんか違うぞっていうのが分かるかもしれないので。
【きだて】勉強だ(笑)。
【高畑】細いやつだと、プラチナにUEFだっけ?
【他故】UEFあるね。ウルトラEF。
【高畑】そういう針みたいにめちゃくちゃ細いやつもあるし、各メーカーちょっと変わったニブはあるんだけど、万年筆のなかなか厳しいところは、幅の違いを1個試すだけでも1本買わなきゃいけないっていう問題だよね。
【他故】そうね。セーラーに極太でズームっていうのがあるしね。
【高畑】あ、ズームね。確かにそうだね。メーカーによって名前が違うことはあるけど、スタブは割と一般的によく使われる名前かな。
【他故】昔からある、海外にもあるものだと思うので。
【高畑】こういうのを使って、面白いって思い始めると沼にはまるんだろうな。
【他故】うん(笑)。
【高畑】この感じは、ボールペンとかではやっぱりないんだよね。
【きだて】まあそうだね。
【高畑】むしろ、サインペンとか蛍光ペンの方が近い感じだね。この幅で書けて、これだけインクが出ると、インクの色の楽しみみたいなのは、幅があって面があった方が楽しめるじゃん。
【他故】そうね。色の変化が出るやつがあるからね。
【高畑】インクを楽しむ面でも、太いペン先って楽しいよねっていうのはあるので。それが携帯しやすい「キャップレス」に搭載されるのは、聞き捨てならんぞという感じだね。
【きだて】なるほど。
【高畑】まあ、きだてさんが万年筆に目覚めるのはいつなのかという話もありますが、こうやってちょっとずつ「いいぞいいぞ」って言いつつですね。
【きだて】まあまあまあ、字がキレイになってからかな。
【高畑】こういうペン先の面白いところは、元々線幅が広過ぎるとか個性があるから、ちょっとごまかしが効くところもある。
【きだて】分かる。
【他故】そうそう、それはそう。
【きだて】ヘタウマとかそういう感じでごまかせる。
【高畑】味に見えるっていうのも、特殊ペン先のいいとこだったりはするんだよね。
【きだて】筆ペンとかもそうなので、それは分かる。
【他故】太い方がいいのよ。
【高畑】ストレートに、普通のMとかFとかで書くよりバレにくいっていうのはあるかも。
【他故】より味になっていくっていうね。
【高畑】万年筆が必ずしもすごく良いというわけではないけれども、別のものとして面白いから、続いてほしいなとは思うし。もうレガシーな筆記具ではあるんだけど、未だにファンがいっぱいいるのは、この面白さがあるからだなという気はするので。今回スタブを手に入れて、書いてみて楽しくて嬉しかったので、これかなと思います。
――何でキャップレスに急にスタブを入れたんでしょうね。
【高畑】そう、それは知りたい。むしろ今まで何でやんなかったんだよって思うし。でも、これ見るとさ、これだけ幅広いし新造なのよね。何でここで作ったのかっていうのは気になるよね。しかも、かなりレアケースなので、あんまり数が出ないペン先だと思うのね。今回のシリーズでも、1番売れるのはFとかだと思うんだよ。
【他故】まあそうだね。
【高畑】って考えたらさ、何でこれのためだけにペン先を作ったのか。だって、これ抜き型も違うはずだから。あえて投資をしてこのペン先を作ったっていう感じがするので。
【きだて】そうだよね。キャップレス用だから、他に転用も効かないしね。
【高畑】そうそう。だから、何でこんなものを今作ったんだろうとは思うけど。まあ、「キャップレス」ユーザーにもう1本買わせる戦略なのかな?という感じはしなくはないけど。
【他故】それっぽい気もするけどもね。
【高畑】だとしたらまんまと欲しくなって、まあ今回はあれですけど、でもなかったらなかったで俺は買ってたなと思います。
*次回はきだてさんのベストバイ「直尺 タフホワイト」です
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プロフィール
高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/



