【連載】『小粋な手紙箱』 #21 "寒中見舞い"と"余寒見舞い"
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。
手紙で気持ちを伝えよう!
ついに師走ですね。お変わりありませんか?
今回は“寒中見舞い”と“余寒見舞い”についてお伝えします。
“寒中見舞い”は喪中の方へ年賀状の代わりに書く挨拶状というイメージが強いと思いますが、暑中見舞いと同じように寒い時期のお見舞いを表す挨拶状というのが本来の在り方です。
寒中見舞いを書くタイミングは松の内(1月7日)を過ぎてから立春(2月4日)までとされています。松の内を過ぎてしまってから出す年賀状の返礼も寒中見舞いとして出すと良いでしょう。
“余寒見舞い”の時期は、立春からだいたい2月いっぱいまで。地域によっては3月上旬までとされています。“余寒”とは立春が明けてもなお残る寒さのことを言います。ですから春の足音が聞こえそうでまだ聞こえない頃に書く挨拶状とでも言いましょうか。「余寒お見舞い申し上げます」という言葉で始め、近況を綴ります。
このような挨拶状の習慣は、季節の変化を繊細かつ敏感に捉える日本人の細やかな心もようが感じられますね。
手紙トピック
手紙の書き方コンサルタントのお仲間から教えてもらったのですが、“手紙小説”というものをご存知ですか?
札幌にある古本屋さんで購入できます。
色々なタイトルがあるのですが、6通セットになっていて、読みたいものを選択することができます。私はどれもこれも読んでみたくて選べなかったので試しに“お任せ”で購入してみました。
届いたものは、「シマシマからの手紙」「退屈届け」「未来からの手紙」「果たし状」「窓の向こうからの手紙」「インクからの手紙」。
ノスタルジックな雰囲気を醸し出す茶封筒。このパリパリした感じがまた良いのですよ。
わかりやすいものを一通ご紹介すると、「インクからの手紙」はこんな感じ。
「そのときのぼくの心は波一つない湖面そのものだったよ」
「ああ、染み込み酸化し行く喜びよ」
インクの気持ちになって読むと不思議な景色が見えてきますよね。
他のタイトルも一風変わった手紙風の短編小説でなかなか面白かったです。
「果たし状」だけは怖くてまだ開けていないのですが・・・。今月のマキシマムカード
お知らせ
★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
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プロフィール
田丸有子 (たまるゆうこ)
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。
また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。
奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。
ブログ「Cordially yours」
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